いよいよ棟の解体に取りかかりました。
棟養生の杉皮を止めている「カラミ」を棟の内部から直接針金で縫い止めていたり、杉皮の端を竹串で押さえたり、棟の「段」をススキで造っていたりして、かたちは同じでも美山のやり方とは明らかに異なります。
棟の「段」は美山だとワラで造るのが普通です。
針金が棟の内部へ貫通しているので、その部分では棟の内部まで少し雨水が染み込んでいましたが、「段」がススキで造られているせいか、たいした問題にはなっていないようでした。
美山のやり方だと杉皮を貫通して縫い止める必要は無いので、棟の中に雨が入る事はありません。
それぞれの技術はどちらかが良くてどちらかが悪いというものではなくて、要はつじつまが合っていることが大切なのだと思います。
とはいうものの、裏表の棟の材料をてっぺんで互いに編み止めたりしていて、美山とは異なる技術で収められた棟はなかなか丈夫そうで参考になります。
25年前に葺き換えた職人さんは滋賀県から来られた年配の方だったそうですが、葺き方は芸州屋根屋と呼ばれている広島出身の出稼ぎ職人さん達の流れを受けた系統のようです。
それが最も顕著に表れていたのは軒の角の部分の据え方。
「つくりかや」と呼ばれるパーツをあらかじめ造っておいてから、軒の角に載せて固定します。
丹波では見られないやり方です。
意匠的に目につく場所でありながらしっかりと固めるのが難しく、傷みやすい軒の角を丈夫に設えるための工夫で、僕は岡山の職人さんと一緒に仕事をさせて頂いた機会に始めて知りました。
地理的に岡山も芸州流の影響を受けているのではないかと思います。
おもしろい話ですね。
しばらくお待ちください。
じき連絡します。
青原さとし さん、
上映会でお忙しいようですし、無理に急いで連絡して頂かなくても構わないですよ。
この屋根に関して芸州屋根屋さんの痕跡は、僕がこの手で全て解体してしまいましたし・・・
こんばんわ〜♪
「つくりかや」はあちこちで見られるのではないのでしょうか?
佐賀平野では、ヨシを束ねたようですね。→http://blog.goo.ne.jp/runarunanotabi620/e/f7699ef63986ce00c689dc6d531fa6ac
ルナルナさん、こんにちは。
情報ありがとうございます。
九州でもみられるというのは、やはり西国の技術なのでしょうね。
関西に伝える役割を、盛んに出稼ぎされていた芸州屋根屋さんがされたようで、彼らがススキを得意とされていたせいか、滋賀県でも山間部のススキ葺きの地域でつくりかやが多く見られ、湖岸部のヨシを扱う職人さんではつくりかやをされる人は少ないようです。