北側の大間をめくってみるとかきつけ がなされれずに、カヤオイの上に直に稲ワラが乗せられていました。
錣屋根(シコロ屋根・ひさし)で茅屋根を受け止めるようにして、茅屋根と錣屋根のあいだに隙間が出来ないようにする配慮と思われます。
隙間が無い方が当然雨仕舞いは良くなります。しかし、錣屋根を設けたせいで軒からの換気効率が悪くなった事が、最近「茅葺き屋根が長持ちしなくなった」と言われる原因の一つではないかと怪しんでいる僕としては少々複雑です。
半割丸太のカヤオイは厚みが一定ではないので製材したものに交換しました。
下地の竹を止めている縄も全てかけ直します。
しかし、竹そのものはしっかりしていて、ほとんど交換する必要はありませんでした。旬の悪い時期に伐採した竹を使うと、どんなに囲炉裏を焚いて燻しても虫が入って駄目になりますが、刈り旬の良い竹は何年経っても間違いがありません。
後年の改造で設置された錣屋根は、茅屋根がかぶさる部分までは風雨に曝されても大丈夫なようには造られていません。隙間があった方が良いかどうかは自分の家で実験するとして、瓦と茅屋根のあいだに隙間が出来ないようにして新しい軒を付け始めます。
とはいえ、稲ワラでは雪が積もったときに水を吸う恐れがあるので、半分に切った茅のカブ(根元の方)を逆さにして、しなやかな切り口の方が瓦に乗るようにしてかきつけます。
カブをかきつけた上に稲ワラ、古茅と、短くテーパーのきつい材料を重ねて葺いて、屋根下地に対して茅材を置く時の角度を稼いで行きます。
八重山近海では台風13号が不穏な動きを見せており何やら雨がぱらつき出しましたが、水濡れに弱い稲ワラや古茅を曝したままでは帰れません。
雨が本降りになる前に長く丈夫なススキで軒を収めて、何とか完了。
これで一安心。
もちろん、工事用ブルーシートで養生して帰るのですが、ブルーシートは完全防水ではないから多少滲みる事もあるし、軒の茅がついていないと屋根裏から吹き上げる風でシートがめくれてしまう事もあるので、安心して寝ていられません。