穏やかな秋の日差しの中、北では稲刈りに続いて収穫された、粟(アワ)が稲木で干されているのを目にする事が出来ます。
ハサミで仕上げて足場を解体し、本日無事竣工しました。
手前側の小間(妻側の面)は何年か後にあらためて葺き換えます。
茅葺き屋根は北側と南側、棟の方と軒の方、大間と小間で日当りや雨水の流れる量が異なりますから、傷み方にも差が出て来ます。
毎年少しずつ刈り貯めた茅で、傷んだところを順番に葺き替えていくのが本来の茅屋根の葺き替えの在り方です。この時の屋根の分割の仕方は、地域による気候風土の違いに即して、最も効率が良くなるように工夫されて来ました。
北の「かやぶきの里」はもちろん、美山とその周辺では屋根を上半分だけ葺き換えた、つぎはぎの茅葺き屋根が目につきます。
茅屋根の葺き替えが文化財保護のための特別なことではなく、そこに住む人の暮らしの中で当たり前に続けられている事、そのような住人の意識こそが、「かやぶきの里」美山の一番の財産なのではないかと思っています。
ceico さん、コメントありがとうございます。
茅葺きはたてものそのものより、それを支える仕組みの方にこそ大きな価値があると思っています。身近な自然素材を活用してつくられる健康な住宅に暮らす事で、身近な生態系の維持に参加するという。
ご近所の茅葺きの家もとりあえず茅葺きで残すことができたなら、それが自然と人の共生する地域のシンボルとなるような活動が行われるようになると良いですね。
猪垣というと今では中古のトタン板で作られていますから、美しい石垣の意味を教えてくれるようなサインはありがたいのですが、それは石垣を猪垣として活用し維持することを喚起するようなものであってほしいものです。記念碑だと過去の歴史遺産となってしまいますから。
スズリ さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
美山も踏ん張りきれずに合併してしまいました。
これからも「生きたかやぶきの里」を貫けるかどうか、住人ひとりひとりにも問われる時期に来ているのを感じます。
自分の仕事を通じて、より良い美山となるように少しでも貢献できればと思います。
茅葺きが特別なことでなく、住む人のために当たり前にあるということが大事だということは本当にそうですね。
前回書き込みさせて頂いた隣町の茅葺きの家も、何年も無人のまま放置されていて、なんとかならないかと近所の人と話していたのですが、行政の手が入り、無惨に手を加えられ、へんてこりんな茅葺きのこれはなんだろうという建物に変貌していまいました。
特別なものではないんですよね。
ここには猪垣(ししがき)と呼ばれる猪よけ最長50キロにわたる村をとりかこんだ石積みがあります。近くの川で拾って来た石を積んだ機能的でとても美しい石積みです。
しかし、現在では使われることのなくなった猪垣は崩れかかり、大きな記念碑が建てられているのです。なんで行政ってこうなんだろうっておもいます。
それに対して何もしていない自分もいるのですが・・。
足あとから、伺いました☆私が行った日は竣工だったのですね!
美山は何というか、文化的保護という次元とは別に、芸術的で洗練されたものが貫かれている感じがします。私も丹波人ですが、ちょっと羨望の町です(^^ゞ
一月程度前に美山のかやぶきの里?(名称が正しいでしょうか)へ観光に行かせてもらいました。開放されている茅葺の家をゆっくり見せてもらったり話を聞かせてもらいました。土間にはいろんな材料を混ぜた土を使用しているとか家畜の便所などは興味深く見せてもらいました。美山の茅葺の材料がススキであることも初めてしりました。
kagayanomaro さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
美山で伝統的な農村集落として文化財指定を受けているのは「北」という集落で、地元では「きたむら」と呼ばれていますが、観光に来られる方の受け入れに際して「かやぶきの里」という看板を掲げていますので、きたむら=かやぶきの里で間違いありません。
同時に美山町とその周辺では、きたむら以外の場所でも多くの茅葺き民家が普通に住宅として使われています。また機会がありましたら、茅葺き民家の点在する山里の景観を楽しんで下さい。