職人なら仕事は手と目で覚えるものだとは思いますけれども、客観的な記録という点では写真や映像はやはり優れものです。
実際の施工作業にかかると解体の過程では気付かなかった疑問点も出て来ますから、あらためて写真資料を見直せば新しい発見がいくつもあります。
並べた茅材を押さえた竹を、次の茅材を並べることで覆い隠すことを繰り返して葺き上がっていく茅葺き屋根。
最後の押さえ竹をどうやって隠すかの工夫が、様々な姿の棟収めを生み出して来ました。
共通しているのは最後の押さえ竹が棟の基礎となること。
屋根の表裏で基礎の高さが揃っていなければ、どんなに丁寧に棟を積んでもやがて傾いてしまいます。表裏の押さえ竹に足を置き棟を跨いで立ってみることで、竹の高低を判断します。
茅材を横積みにして棟のかたちを整えます。
丸い棟にするために、関西のように高く積み上げたりはしません。
両端を杉皮で押さえ、その杉皮をマキワラで押さえます。
マキワラは竹串を差して固定します。
平行して、ケラバ(破風周りの軒)も刈り揃えたので、屋根のかたちがはっきりして来ました。
ところで、ドングリの降り方は日に日に強くなってきていて、カーン!と音を立てて鋼管足場に落ちてくるそれは、頭に当たったりすると結構痛かったりします。
>屋根の表裏で基礎の高さが揃っていなければ、どんなに丁寧に棟を積んでもやがて傾いてしまいます。表裏の押さえ竹に足を置き棟を跨いで立ってみることで、竹の高低を判断します。
これぞ職人技ですね。
美しいです。
仕事の進み具合は早く感じますが、このくらいのスピードが普通なのでしょうか?
この間、熊野本宮大社にお参りに行ってきました。そこは撮影禁止になってたのですが、茅葺ではないか!とビックリしてしまい、ほんとにお屋根の美しさに驚き、感動でした〜これぞっ日本の芸術!!て思いましたね。ここのブログ見せて頂いてたので目に入ってしまったのかもしれませんけど・・
ceico さん、 あや さん、コメントありがとうございます。
>ceico さん、
人間の身体感覚はなかなかのものです。水盛りを使ったりするよりも、結局跨いで踏んでみるのが一番早くて正確です。
仕事の進行速度は現場のチーム編成で決まります。
今回のように小さな屋根はかえって手間を食うものなのですが、屋根葺きの基準となるコーナーの部分を、責任もって葺けるレベルの職人が4人揃っていたので、屋根全体を一斉に葺き上がることが出来たためはかどりました。
>あや さん、
熊野本宮大社は檜皮葺きだったかもしれませんが、植物質材料の性質を活かして屋根を葺くという点では、本質的に同じものだと思います。ひょっとしたら境内に茅葺きもありましたか。
檜の皮で葺く檜皮(ひわだ)葺きや、薄く割った木の板で葺く柿(こけら)葺きの技術は、今回の研修を主催している(社)社寺屋根の研修で拝見しましたが、手と目だけで自然な曲線の大きな屋根を形作る様は、まさに日本の芸術ですね。
へ〜〜お勉強不足でごめんなさいm(__)m
檜皮葺きってあるんですか〜〜綺麗に揃えて
あって形が綺麗でしたよ〜〜重要文化財らしいです。
>あや さん、
いえいえ、僕は実際にはまだ見た事はないもので、ぜひお参りしたいと思っています。
立ち木のヒノキの樹皮を、木を枯らさずに剥いて整えて屋根にする檜皮葺きは、茅葺きとはまた違った奥深さが垣間見えておもしろいです。
>あや さん、
すみません!
熊野本宮大社の拝殿は茅葺きだったかもしれません。
重要文化財の檜皮葺きの本殿のことしか良く知りませんでした。学校で本から学んだ知識の底の浅くて申し訳ありません。
拝殿も文化財指定受けたのですね。
本当に今度一度訪ねて良く見て来ます。
教えて頂いてありがとうございました。