母屋は軒裏も刈り落としてほぼ仕上がり、順次足場の解体に移ります。
いよいよ梅雨らしく雨が強く降り込める日も多くなるなか、合間をついて方丈の差し茅も佳境に入って来ました。
雨の止み間は森の蒸気に満ちた空気がねっとりとまとわりついて、思わず出た「ヒレを付けたら泳ぎ出せそう」という台詞にはげしく同意してしまいました。
しかし梅雨が明けたら明けたで、屋根の上に一年で最も暴力的な日照の降り注ぐ季節が到来することになるのです。
何とか方丈の刈込みも終わり竣工です。
もっとも、僕は皆が蒸し暑さに弱っている中、最後の2日間は現場を離れており、仕上げには携わっておりませんが。
そういうわけで、この竣工写真に限り photograph by Yu Osaki ですので。
竣工の写真をみて、思わず「きれい!」という言葉が口から出ました。
ぼさぼさ頭だった方丈は、可愛らしく生まれ変わりましたね。
今回の軒先の突き合わせの角は、若干丸めのラインで仕上げてありますか?気のせいかもしれませんが、全体的に優しい印象です。
苔が生えている既存部が残っているのもいいですね。以前に感じていた愛着も残っているというか。
千 さん、コメントありがとうございます。
角は長持ちさせようと思えばエッジを立てた方が良いのですが、それなりに葺くのは難しくなります。
しかし差し茅の場合だと、もともと新しく葺いた場合程の耐久性は望めません。あまり手間をかけず、差し茅なりに少しでも長持ちさせようとすると、角を立てることにこだわるよりも、丸く納めた方が具合が良いこともあるのです。
新しく葺いた場所もあれば、古い場所も残り、差し茅での補修もありと、茅葺き屋根は「住む道具」として使いながら、少しずつ姿を変えて行くのを楽しんでもらえたらと思います。