助っ人稼業は続いています。
永谷宗円生家を仕上げて、M窯に戻って来ました。
軒付けを手伝った小間(妻側)は葺き収まり、大間(平側)と手前に建っている方丈の修理に取りかかります。
基本的には「差し茅」による補修を行いますが、傷みの酷い大間の軒を丈夫なものにするために、軒の部分は古屋根を解体してつけ直します。
新しく葺く屋根の先は、残した上部分の古屋根の下に潜り込んでいないことには水仕舞いがなりません。
そこで、古屋根の下に細い丸太を大体2m毎に差し込み、てこの要領で屋根を持ち上げ充分な隙間を作っておきます。
方丈の方はノーマルな差し茅の方法で軒を付け直して行きます。
人数の出入りがある現場なので、2カ所の工事を平行して行うことで調整して行きます。
shiozawaさん、こんにちは。
ふたたびやってまいりました。
ここでは苔むした古い茅と、新しいものが、グラデーション状?に混ざっているのが面白いですね。
>そこで、古屋根の下に細い丸太を大体2m毎に差し込み、てこの要領で屋根を持ち上げ充分な隙間を作っておきます。
新しい茅をふいたら、持ち上げたものは、おろすのですか?それとも、そのままでしょうか、下がっていたのを持ち上げ矯正したというような。
それからこの丸太を設置したりするのは、茅葺き職人チームですか?それとも大工さん?すみません、細かい話ですが…。
茅葺き屋さんは、屋根の医者のようですね。葺くにも創意工夫がいりますね、新築ならまだしも。
千 さん、コメントありがとうございます。
茅葺き屋根は毎年少しずつ刈り貯めた茅で、傷んだ場所を順番に葺き替えていくものですから、つぎはぎなのがあるべき姿なのだと思います。
屋根の状態を診断し、最も効率よく維持して行くための工事を処方するので、確かにお医者みたいなものかもしれません。「直す」というより「治す」という感じです。屋根の健康管理。
だから、新築や総葺き替えをすると暫く関われなくなってしまうので、逆にちょっと寂しいという面もありますね。
茅は下から上に葺き重ねていますので、下の茅を引き抜けば支えを失った上の茅は下がってしまいます。そこで、丸太のてこであるべき位置に留めておく必要があるのです。
引き抜いた下の茅に見合うだけの量の茅を新しく葺いたら、丸太のてこは引き抜いてしまいます。上の茅には屋根全体から重みが加えられていますから、てこを緩めれば新たに葺かれた茅をしっかりと押さえてくれます。