美山にしては数年振りの大雪に見舞われた冬を乗り切った、砂木の家の屋根葺きを再開します。
養生シート、足場、雪囲いと、無事なようで胸を撫で下ろしました。
が、裏側にまわってみるとこのとおり。
雪の重みに耐えかねた足場が折れて、下屋の瓦が相当数割れてしまっていました。
とはいえ雨漏りも無いし、雪の中に葺きかけのまま半年近くも放置したのだから、この程度で済んで良かったと思います。
さて、昨秋ご近所の協力のもとこの砂木の家で開催した、カヤマル'07が集落内で好評をいただき、村のお堂の修繕もカヤマル式に行えないかというご提案を頂きました。
ありがたいことです。
当然茅葺きは茅刈りから始めなければなりませんから、秋に良い茅が刈れるように村の茅場の手入れをしておきました。
ここでは昨秋茅刈りをしていないので、枯れたススキがそのまま残ってしまっています。これが混じると茅としての品質が悪くなるので、新芽が出る前に刈り倒しておきます。
場所によっては既に芽吹いているススキの株もありましたが、よく見ると僕たちが刈る前から新芽の先がありません。
鹿が食べた痕のようです。
それでは鹿に食べられてしまって、このススキはもう茅としてダメなのかというと、この時期ススキの成長点は根本近くにあるので、葉先を食べられても問題は無いそうです。
そういえば休耕田を茅場にしようとすると、土が肥え過ぎていてススキが大きく育ち過ぎてしまうため、5月の連休頃に新芽を一度刈ってしまうと良いと言われたことがあります。ただし、刈る時期が遅くなるとススキが花を咲かせなくなってしまうので、6月が近づいたらもう手を出してはいけないとも言われました。
ススキは春の野辺に真っ先に芽を出す草の一つです。そこで青草に飢えた鹿に食べられることがあっても、茅としての品質に影響はありません。やがて暖かくなり勢い良く葉を伸ばす時には成長点も葉先へと移動して来るので、この時に葉先を食べられてしまっては困りますけれども、もうその頃には茅場は柔らかなハコベやノカンゾウで溢れているので、鹿も固くなったススキを好んで食べることは無いのでしょう。
何とも上手く出来ています。
ちょっと出来過ぎではと思うくらい。