昨年の初夏に屋根を葺いていた赤井家住宅で開かれた、土壁塗りの体験ワークショップに参加させてもらいました。
一年経って屋根も落ち着いた良い色になってきています。
下地の小舞は左官屋さんによってかかれていましたが、参加者にも少し体験させて下さいました。
竹小舞を透かす光は何度見てもとても美しくて、施主ならぬ気楽さから、つい「このままでも良いのでは・・・」という言葉が出そうになります。
長い長い建物の生涯の中で、ほんの一瞬だけ見せてくれる涼やかな姿。
修理前の古壁の土や、解体された付属の蔵の土も混ぜられて、一年寝かせて熟成された土。建物の歴史や記憶もたくさん詰まっています。
壁に塗るためには、まずこれを捏ねなければなりません。なかなか堪える作業です。塗る方は楽しいのですけれど、しっかりと土つくりが出来ていないと先には進めません。
土が出来たらさっそく壁に。子どもたちは素手でぺたぺた塗り込んで行きます。
文字通り「自分の手で」家を造った体験は、彼等の中でどんな想い出として残るのでしょうか。
せっかくの機会なので、大人は鏝の使い方も勉強しましょう。
見てると簡単そうでも、当然ながらやってみるとかなり難しい。でも、引き込まれる作業なんですよね。やり始めると止められない。
忙しい指導の合間を縫って、参加者の塗った壁をさりげなく仕上げてまわる左官屋さん。
前に出過ぎす、突き放さず。絶妙な立ち位置でサポートして下さる職人さん。
自分が体験してから職人さんの仕事を見せて頂くと、あらためてそのすごさに感服してしまいます。
作業のあとには、あかい工房棟梁が変身した料理長による、豪快絶品料理の数々。
素材を活かした味に舌鼓を打ちつつ、僕たちはおいしいごはんを食べるために、出会って、働いて、生きているのだということを噛み締めていました。
>前に出過ぎす、突き放さず。絶妙な立ち位置でサポートして下さる職人さん。
自分が体験してから職人さんの仕事を見せて頂くと、あらためてそのすごさに感服してしまいます。
まったく同感です。
私は子供のころから叔父の大工の仕事を見て、あるいは、京都で建築現場の頃の様々な工種の職人さんと関わり、そういう方のさり気ない気遣いの仕事に本当に感動しています。仕上げの美しさも絶妙ですが、それを出しゃばらないところが奥ゆかしい美学ですね。うまい人ほど何のへんてつもないように仕上げてたりする。
ichide さん、コメントありがとうございます。
すごいことをすごくやってみせるのは芸人さんですかね?職人さんはすごいことをさりげなくやってしまうので、なかなかそのすごさに気が付くことが出来ません。
体験会は、本物の職人さんの技に触れられる機会でもあってほしいものです。
もっとも一番すごいのは、自宅を体験会場に提供して下さるお施主さんかもしれませんが。