4月25日発売の芸術新潮5月号にて、拙稿で小さな特集を組んで頂いています。
ご覧頂く機会があれば、感想など聞かせて頂ければと思います。
ムーミンと一緒に掲載してもらえたのを、ちょっと嬉しく思ってしまいました。
トーヴェ・ヤンソンの大特集は、見応えあり。
毎年恒例の茅葺きシンポジウム、今年は茅葺きに取り組む元気な学生たちが主役です。
・全国茅葺き民家保存活用ネットワーク協議会第1 0 回シンポジウム
「都市と農村の協働する茅葺き民家」
平成21 年5 月30 日(土)~5 月31 日(日)
会 場:
○総会・シンポジウム:八多ふれあいセンター(ホール)
(兵庫県神戸市北区八多町附物393-1 TEL:078-982-0514)
○情報交換会:八多ふれあいセンター(茅葺き民家)
(兵庫県神戸市北区八多町附物393-1 TEL:078-982-0514)
○宿泊:ホテルフルーツ・フラワー
(神戸市北区大沢町上大沢2150 TEL:078-954-1002)
問合せ、申込:
全国茅葺き民家保存活用ネットワーク協議会
事務局 上野弥智代
株式会社里山建築研究所
〒300-4212 茨城県つくば市神郡108
電話/ファックス 029-867-1086
satoyama-archi@air.ocn.ne.jp
スケジュール:
■5 月30 日(土)
13:00 開場
13:30~ 開会
13:40~ 開催地報告
14:40~ 各地からの活動報告
15:20~ 休憩・配置転換
15:30~ パネルディスカッション「地域と学生の協働する茅葺き民家」
コーディネーター:安藤邦廣 筑波大学教授
パネリスト:
立命館大学/丹後村おこし開発チーム・笹葺き民家の再生と、その運営
滋賀県立大学…男鬼楽座/限界を突き抜けた集落での、営みの模索
神戸芸術工科大学…カヤテックコミュニティ/ニュータウンでの茅刈り
武庫川女子大学…古民家族/廃屋の再生プロジェクトから、むらづくりへ
17:30 閉会挨拶
17:40 閉会
□18:00~20:00 情報交換会@八多ふれあいセンター(茅葺き民家)
(夕食兼情報交換会、八多町と交流)
□ 宿泊先 ホテルフルーツ・フラワー
■5 月31 日(日)見学会 9:00~14:00
屋根の上で葺く作業がスムーズに進むのは、裏山で茅の下拵えしたり運んだりする、テッタイさんの働きをする人がいればこそ。
茅を切るのも手配するのも、段々上手になってきました。
新しく葺いた屋根と、葺き替えていない上半分の屋根の間を葺き詰めます。
葺き詰め方が足りなければ、古い屋根が緩んで崩れますし、だからといって闇雲に詰め込んだら、茅が屋根の内部に向かって傾いてしまい、そこから雨漏りが始まります。
古い屋根は長年風雨に曝されて厚みが減っています。新しい屋根はそれにつられないように注意して、適正な厚みを保って葺き上がらなければなりません。
だから、新旧の屋根のあいだには段差が出来るのがあたりまえ。
最後に仕上げのハサミかけ。
屋根の表面を上から順に仕上げて行ってから、軒の裏を刈り落とします。
重いハサミを持ってのきつい姿勢での作業、「腕が笑った」のはだれでした?
そこらへんに生えている草と、みんなの力とを合わせるだけで、見違える程きれいな屋根になりました。
来年以降も毎年刈り集めた茅の分だけ、屋根は新しく生まれ変わって行くことでしょう。
あるものを使って、必要な分だけ葺き替えながら、一緒に暮らして行くのが茅葺き民家のあるべき姿。つぎはぎの屋根は、この民家が「生きている」証拠です。
下地が出来たら、屋根の軒裏になる部分をつくります。
手間のかかる地味な作業が続きますが、屋根の形の善し悪しを決める大切な工程なので、焦らずやりましょう。
丁寧に葺き並べた茅を押さえる竹は、でっかい針に縄を通して屋根裏に縫い止めて行きます。
針先が屋根裏に出て来たら、中に待機している人がレン(垂木)に縄が巻き付くように、掛けかえてあげます。
軒を止める縄は屋根の一番下に巻く事になりますから、屋根裏で針受けをする人も低いところに手を突っ込んでで大変です。
臨時の助っ人に駆けつけて下さった、山城萱葺屋根工事の職人さんたちを交えて。
少しずつ出来て行く屋根を眺めながらのお弁当。
先月傷みの酷かった部分の解体を済ませておいた屋根に戻って来ました。
今日から古民家族 茅葺き週間のはじまりです。
まずは下地の補修から。
竹や丸太を縄で結わえただけの茅葺きの下地は、しなやかに揺れることで風や地震に強さを発揮しますが、時間が経てば緩んで来ますから、葺き替えの際に整えてやる必要があります。
古茅をめくって下地の横竹も外して、隙間の大きく空いた茅屋根からは、天井裏に保管されていた茅を出すのに良い具合。
毎年冬に少しずつ刈り貯めた茅を保管するのには、広くて乾燥している茅葺き屋根の天井裏が最適です。
ずれたレン(垂木)を元の位置に戻して、ヤナカ(母屋)を補強して高さを揃えたら、横竹を配置して行きます。
基本的に釘もコースレッドも使いません。縄だけです。その方が丈夫になるのですが、もちろん、縄がきちんと緊結されていることが前提条件。
さて、予習の成果を見せてもらいましょうか?
男結びが下手っぴだと横竹はぐにゃぐにゃに踊ってしまうのですが、なかなかきれいに並びましたね。
下地も仕上がり、茅屋根を葺き始める準備がすっかり整いました。
先月傷みの酷かった部分の解体を済ませておいた屋根に戻って来ました。
今日から古民家族 茅葺き週間のはじまりです。
まずは下地の補修から。
竹や丸太を縄で結わえただけの茅葺きの下地は、しなやかに揺れることで風や地震に強さを発揮しますが、時間が経てば緩んで来ますから、葺き替えの際に整えてやる必要があります。
古茅をめくって下地の横竹も外して、隙間の大きく空いた茅屋根からは、天井裏に保管されていた茅を出すのに良い具合。
毎年冬に少しずつ刈り貯めた茅を保管するのには、広くて乾燥している茅葺き屋根の天井裏が最適です。
ずれたレン(垂木)を元の位置に戻して、ヤナカ(母屋)を補強して高さを揃えたら、横竹を配置して行きます。
基本的に釘もコースレッドも使いません。縄だけです。その方が丈夫になるのですが、もちろん、縄がきちんと緊結されていることが前提条件。
さて、予習の成果を見せてもらいましょうか?
男結びが下手っぴだと横竹はぐにゃぐにゃに踊ってしまうのですが、なかなかきれいに並びましたね。
下地も仕上がり、茅屋根を葺き始める準備がすっかり整いました。
カヤカル'08@美山に参加して下さったタテマツさんとホシノさんが、地元の国営木曽三川公園内にあるエコパーク河川環境楽園での茅刈りを企画されて、ご案内を頂きました。
カヤカル参加者の方が、地元に戻って開かれる茅刈りイベントにお誘い頂けるとは、何とも嬉しいことです。
茅葺屋もお手伝いに伺って、参加者の方々と一緒に刈って来ました。
12月に美山での茅刈りに参加されて、地元に帰って公園にススキが株立ちしているのを見付け、公園管理者に働きかけて、3月には茅刈りイベントを実現されてしまいました。
その行動力には感服いたします。
昨年までは刈り取られたススキはゴミになってしまっていたのでしょうか。
今年はみんなで鎌を手にして刈り取って、少しの手間と愛情と一緒に束ねて、茅という資源になりました。
河川環境楽園内には、茅葺き民家が移築されています。
公園内に生えるススキを毎年少しずつ刈り貯めて、この屋根を維持して行けたら素敵だと思います。
エコパークだけあって、芝生の一画には草の茂る原っぱが好きな生き物たちのために、刈込まずに草を伸ばしているところがありました。
でも、放ったらかしにしていたら枯れ草の薮になってしまいます。
冬になったら思い切って刈ってしまった方が、翌春の芽吹きが枯れ草に邪魔されず、草も元気に葉を伸ばし、小さな生き物たちにとっても暮らしやすくなるのではないでしょうか。
自然を大切にするというのは、手を触れずに放っておくこととは違うはずですから。
最後に鎌研ぎも体験。
使う度に、仕舞う前に手入れするのが、道具と上手に付き合って行くためには大切です。
来年のためにも!
六甲山を越えて西宮市街と三田を結ぶ峠道と、宝塚と有馬温泉を結ぶ峠道が山中で交差するところに、船坂という集落があります。
そこで住む人がいなくなり朽ちて行こうとしていた廃屋を、武庫川女子大学生活環境学科有志を中心とした、古民家族というグループが再生に取り組んでいます。
増築部分の撤去からはじまり、基礎のレベル出し、土壁の塗り直しと進んできて、いよいよ茅屋根の葺き替えに取りかかるということで、茅葺屋もお手伝いさせてもらうことになりました。
裏側の屋根は覆い被さった木が根を下ろし、完全に背後の山と一体化してしまっていました。今回はひとまず、こちらの屋根を葺き替えることにします。
我々が到着する迄に絡まる枝や蔓は伐採していただいて、作業のための空間は確保されていましたが、土と化した屋根はご覧のように穴だらけです。
まずは足場組みから。
大勢が乗って作業する足場ですから、安全を確認しながら組まなければならず、大勢で手分けしてという訳には行きません。
そのあいだ手の空いたメンバーに、ぼけっと待っていてもらうようなことはしません。
稲ワラを結んでサンバイコウつくり。
たっくさん必要ですからね!頑張ってください!
立派な足場か出来ました。
あまり近くに木があると屋根が傷むので、足場を利用して裏山の枝打ちも平行して進めてもらっています。
古屋根めくりの際は、再利用できる古茅と、畑の肥料にまわすゴモクとを、めくりながら判断して、分別しながら進めて行きます。
古茅を手早く束ねるのに、稲ワラを結んでつくったサンバイコウが、とても具合がよろしいのです。
今回葺き替えるのは裏側の、さらに下半分だけ。
予算も時間も限られた中で、とりあえず喫緊の雨漏り対策には充分対処できますから。
茅葺き屋根は、手元にある材料で、必要なところだけ順番に葺き替えながら、付き合っていくものです。
次回は竹下地の補修。
皆さん遅く迄、男結びの予習に余念がありません。
男結びが出来ないと、茅葺きの現場では男が立たないですからね。
神戸市北区役所主催で開催の運びとなった、茅刈りイベント。
当日は朝から雨のぱらつく生憎の天気となってしまいました。
しかし、天気は次第に回復の見込みとのことです。
参加者のために早朝から大量の鎌を研ぐ、丁稚サガラ。
予定では午前中茅刈り体験、午後に茅葺きレクチャーとなっていましたが、天候の回復を待つために順番を入れ替えます。
神戸には意外と茅葺き民家がたくさんあることや、茅を刈るとなんか良いことありそうなことを、スライドとともに解説。
午後になると陽射しも回復してみるみるうちにススキは乾き、無事に茅刈りを始めることが出来ました。
住宅地の中にあるこの法面は、環境整備のための除草作業がたまたま冬場に行われていたために、結果的に茅刈りを続けて来た草原のような生態系が整いつつありました。
このナンバンギセルのように、人が茅場として利用している、ススキ野原に依存する植物も見られます。
しかし、去年までは除草されたススキは、ゴミの山にしかなりませんでした。
今年はみんなで鎌を手にして、ほんの少しのコツと手間で、ススキは茅という資源になりました。
最後には青空も広がりました。
僕は、いくら茅葺き民家を文化財に指定して保存しても、ススキやヨシが茅になることをみんなが忘れてしまったら、茅葺きという文化は絶えてしまうと思います。
逆に言えば、きれいなススキが生えているのを見たときに、「良い茅だな」と思う人が増えて行けば、茅葺きという文化は支えて行けるとも思っています。
収穫された茅は市登録文化財赤井家住宅の葺き替えに寄贈されます。
さて、イベントのあとには、きちんと後片付けも忘れずに。
刈り残した雑草と、ススキの葉やハカマといった茅くずを掃除して、有機栽培の農家さんのところで、堆肥原料に。
手間をかけただけ美しく豊かになってくれる茅場。
春になれば新緑が萌え出て、秋にはきっと今年以上の銀波が輝くことでしょう。
楽しみです。